短編映画「レミングたち」
角洋介監督の短編映画「レミングたち」のグラフィックデザインをminamoが担当しました。
レミングたち
東京で暮らしている翔は、希死念慮に囚われていた。そんな時、彼の妹・渚が事故にあったことという知らせを受け、急ぎ故郷へと帰る。 ダンサーを目指している渚は、事故によって足が動かなくなっていたが、彼女はそれでも夢を諦めず懸命に生きようとしていた。翔は渚との交流の中で"生きること"について考え始める。
生きることを、つづけるために。
「レミングたち」は、監督が心臓の手術からの回復を経て制作された、人が生きていくさまを丁寧に描いた短編映画です。どこかノスタルジックで美しい景色と、あたたかくありながら非情な現実がふと見え隠れする作品で、そこからビジュアルのキーワードとして「古い生物図鑑や標本、寓話性」を設定しました。
メインタイトルロゴ
古びた標本をイメージして作られたそれぞれの文字には、重力や跳ね上がりといった登場人物と重なるような身体性を持った骨格を持たせています。
さらに自身とその外界との間に存在する境界、そこに発生する摩擦をレタリングの痕跡として微かに残し、物語に寄り添ったロゴデザインとしました。
エンドクレジット「レミングたち」
本作のエンドクレジットでは、作中の登場人物だけでなく、監督を始めとするスタッフの姿を「レミングたち」として地続きに描くことを目指しました。アーティストの吉田惇之介氏が描き下ろした役者・スタッフの姿に図鑑のキャプションを意識したクレジットを添えて、「レミングたち」のエンドクレジットが完成しました。
ポスター
寺本慎太朗氏による各人物の生きる姿そのままを捉えた美しいフィルム写真に、図鑑・標本に貼り付けられるようなラベルをイメージした情報を上に載せています。シンプルな構成で、作品の持つ雰囲気を抽出することを試みました。
また、吉田惇之介氏描き下ろしの劇中に登場するモチーフのイラストを古い博物挿絵のようなレイアウトで配置したポスターと、大きくレミングを配置したポスターを制作しています。
本作品は神戸インディペンデント映画祭2020 準グランプリをはじめ高い評価をいただく一方で、コロナ禍の影響もあり上映会を見合わせている状況です。角洋介監督は本作以降も短編映画「露光時間」ほか多くの映像作品を手掛けていますので、そちらもぜひご覧ください。
短編映画「レミングたち」
Director, Cinematographer, Screenwriter: 角洋介
Designer: 宮垣 貴宏・須藤 史貴(minamo)
Photographer: 寺本慎太朗
Illustrator: 吉田惇之介
Client: STUDIO MOVES
Trailer: https://www.youtube.com/watch?v=Iczk2tCQLbU
・神戸インディペンデント映画祭2020 準グランプリ
・第3回小布施短編映画祭 ノミネート
・ダマー国際映画祭 オフィシャルセレクション
・PFFアワード2021 一次審査通過
・Asian Cinematography AWARDS 2020 JUNE BEST SHORT FILM 他三部門受賞
宮垣 貴宏 須藤 史貴
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